09期 第09期同期会レポート
投稿日:
2025年11月27日
同期会レポート(9期同期会)
11月27日(木)9期の同期会(メエヒン会、世話人代表 中本攻さん)を神保町の如水会館で開催しました。19名の参加でした。(男性12名、女性7名)
最初に福地(川村)明子さんの「トールキン『指輪物語』(The Lord of the Rings)が語ること ― 楽園を中心に」のタイトルで、楽しいレクチャーを聴きました。
福地さんは長く東北学院大学に務め、詩人のワーズワスなどロマン派文学の研究をされました。(『ワーズワスの「隠遁者」―"内なる楽園への道"』)
福地さんから次のようなレクチャーがありました。
・アダムとイヴの楽園追放の話をミルトン(1608-74)は『楽園の喪失』で書いたが、その終わったところからワーズワス(1770-1850) の『序曲』は始まった。
・ミルトンが示唆した「内なる楽園」をミルトンによる『楽園の回復』とは違う形で取り戻そうとしたのが、ワーズワスなどロマン派の詩人たちではないか。
・こうした楽園願望はエデンの再現としての植物園設立にも表れているが(キューガーデンズ(王立植物園)など・・)、最たるものはフランス革命であろう。この動きを導いたものは18cの終わり頃からの世界観の変化である。従来の世界観、The Great Chain of Being(存在物は神から鎖のように繋がる静的な世界)が科学の発達等で崩れ、神は完璧ではない、人間も神と同じように創造ができるという動的な世界観が生まれ、理性に代わりイマジネイション(創造力)の観念が確立され、芸術理論もアリストテレス以来の模倣理論が崩れてきた。
・トールキン(1892-1973)は、神話がないイギリスにキリスト教以前の神話を創りたいと『指輪物語』を書いた。イマジネイションの観念を引き継ぎ、ファンタジー論を書いたが、そこではファンタジーはhappy endingでなくてはならないこと、人間の歴史に与えられた究極のhappy endingはキリストの復活であることが論じられている。『指輪物語』の結末への暗示でもあろうか。
・「力の指輪」を巡る壮大な物語の意味を楽しく考えて頂けたら幸いである。
レクチャー後、昼食をいただきながら、皆様から近況報告をいただきました。 会には吉村作治さんも出席されました。前日の11月26日のNHKのクローズアップ現代で、「クフ王」の王墓の発掘 に情熱を燃やす吉村さんが取り上げられました。その不屈の精神に拍手を送りました。 また、出席された藤井貞和さん(東大名誉教授)がこの度、芸術院会員に選任されました。(第二部・詩歌)このことを同期の誇りとし、ともに喜びました。その後、ラウンジで歓談しました。健康談義などで楽しく会話しました。 次回の9期同期会(メエヒン会)は2026年11月26日(木)、如水会館で開催します。
